研究概要
現在、当研究室では、脳神経ネットワークが情報の短期保持によって、ノイズの多い断続的な入力情報から、いかにして連続し連携した知覚経験を生み出すかを調べることに焦点を当てている。最終的には、この研究から得られた知見が、複雑な神経精神疾患の治療への新たなアプローチや、生物学的着想による新規なアーキテクチャを用いた人工知能の進展などに生かされることを期待する。
進行中のプロジェクト
知覚ワーキングメモリ
私たちはどのようにして世界に対する一貫した見方を構築しているのだろうか?脳は、外界の関連し合う事象に対してモデルを作り、それを絶えず更新している。このモデルは単なる記憶以上のものであり、経験に基づいた、詳細なイメージ、暗黙の関連性、微妙な印象などを含んでおり、これらが一体となって知覚ワーキングメモリを構成している。当チームは、行動学的アプローチに光遺伝学と高度な記録技術とを組み合わせ、この内部モデルの創造を可能にしている脳神経回路の仕組みの解明を目指す。
脳神経回路の相互作用
脳神経回路は複雑でダイナミックに変化するネットワークを形成しており、これらのネットワークの相互作用と活動が私たちの行動や思考のすべてを支えている。当チームは、課題による認知機能への従事と、光遺伝学的アプローチによる神経細胞の操作という複数構造の行動記録を同時に行うことで、多領域のダイナミクスがどのように行動を生み出すのか、より深い理解を図る。